50MHz 200W用アンテナチューナー
50MHzでは50Wを超える電力が免許されるようになりましたが、この場合のスプリアス規格は厳しくなりました。スプリアス領域の、高調波などは-70dBまで落とさなければなりません。
ウチの200Wリニアアンプには、54MHzカットオフ、減衰比60dBを謳う、大きな市販のローパスフィルタ―を付けているので、余り心配をしていなかったのですが、実測では減衰が不十分でした。
そこでリニアのタンク回路を、πマッチからπLマッチに改造し、その効果で、70%出力までは上記の-70dBをクリアしたのですが、maxの200W出力では、それでも不足でした。
残る解決手段はアンテナチューナーと思い、仮組みで実験にかかる事にしました。
一方で、ケースやSWR測定機構とバリコンの調達のため、HFで200W用のアンテナチューナーをオークションで探し始めました。
< まずはπ回路で 仮組み>
21MHz移動用アンテナチューナーの回路を参考に、コイルのインダクタンスを500nHとして、π回路を仮組みしました。
仮組用コイルには、トライアルしやすいよう細いめの、0.9mm径の銅線を使いました。
バリコンは、手持ちにあった、1kV・100pFと、TS-520から外した、200pFでした。
ケースには娘のお下がりの、ディズニーのクッキー缶を用いました。
初め、チューニングしてもピークが取れず、バリコンが抜けきった所になってしまいました。
コイルの巻き数を減らして、どうにかピークが得られましたが、パワーが20%くらい下がってしまいます。
π回路では無理か~。
そう言えば、リニアの入力タンク回路でも、π回路ではロスがあったなぁ。何でかなぁ。(← 腕が無い)
< 今度はπC回路で >
今度は、よく使われるπC回路に組み替えてみました。π回路の出力側に、シリーズにバリコンを入れるものです。
回路と内部の様子(コイルは、仮組みから変わっている)は、下のようです。
バリコンの容量がいずれも大きいためか、コイルのインダクタンスはトライアルの結果、少し下げました。
50pF程の容量のものがベターです。その場合は、コイルのインダクタンスも幅広く設定できたかもしれません。
コイルはトライアルの結果、巻き長を長くしなければならず、少しアーチ状になりました。hi.
(えっ? そんなやり方するの、私だけって?)
C1は固定コンデンサーなので、いくつかの容量のものでトライアルを行った結果、100pFの場合が最もロスが少なくなりました。
また、結構シャープにチューンがとれるようになりました。
これで高調波が減衰してくれますように・・・。
< スプリアスの削減効果は? >
max出力でスペクトルを測定して驚きました。高調波などは、-70dBを明らかにクリアーしています。
写真左 max出力時 アンテナチューナー無し
写真右 max出力時 アンテナチューナー使用時
良かったー。
アンテナチューナーの効果で高調波は10dB以上削減し、新スプリアス規格の-70dBをクリアしました。
< そのまま恒久設備に! >
この仮組みの装置、ケースはブリキの缶で、穴あけ加工をしている時には少しペコペコしたのですが、内部部品を取り付け、それを太めの銅線で繋ぎ込んでいくと、かなりしっかりしたものになっていました。
そこへ、上記のようにうまく働くようになって、バラす気がしなくなりました。
ひとつくらい、ミッキーやドナルドダックの絵のついた装置があってもいいや。
SWRの測定には、外付けのSWR計や、リニアアンプ内蔵のSWR計を使おう。
と言う事で、コイルだけ1.6mmのIV線被覆付きに取り替え、そのまま使ってゆくことに・・・。
(被覆は、コイルの振動防止のため、ダンピング材として残しました。)
狙っていたHF用アンテナチューナーのオークションも、おしまい。
部品は全て手持ちという、経済的プロジェクトになりました。
←完成した6m用アンテナチューナー
< !注 意! >
VC2の軸(ローター)には、高周波電圧がかかります。体に触れると危険です。
今回使ったTS-520のプレート同調バリコンは、軸の先端がベークライトになっており、絶縁されているのでそのままパネル面(?)に出していますが、通常の金属軸のバリコンを使用する場合には、必ずカップリングを用いて高周波をカットし、出来れば絶縁体の軸に繋いでください。
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