ジョークプロジェクト
SDカードの利用で、録音時間に制約が無い
CQマシーンの製作
<製作のきっかけ>
6mSSBにはニューカマーからOMまで、毎日各局がオンエアし、国内DXからローカルラグチューまでとりどり、時にQRMまで起こっていたのは70年代の話。
その後、時代に即してデジタル化したオールモードトランシーバーの2号機を作ろうと考え、製作・実験を細々と行って30年余、ようやくそれがモノになったとき、バンドには閑古鳥が鳴いていました。
「6mでCQを出し続けて応答を貰うまで、30分は早い方」という話を聞いてショックを覚え、CQマシーンを作ろうと考えました。
最近のメーカー製リグには、その機能も付いているとか・・・。確かに、それは必要そうだ!
<超ローコストなプレーヤー>
ネットで製作記事を検索してみると、色々な記事が見られました。録音時間に制約がある場合が多いようでした。
そこで、SDカードから読みだして再生するプレーヤーの通販を検索したところ、〇-bayで、DFPLayer Miniなる超小型の”MP3 Voice
Player Module”(録音なし、再生のみ)が、わずか100円余りで販売されているのを見つけました。
マニュアル等がネットで提供されており、そこに、シリアルコントロールだけでなく、配線だけで使える超簡単な使用方法も紹介されていて、これなら使えそうです。よぉ~し。
すぐに注文し、しばらくして届きました。
切手サイズです。マイクロSD(さすがに、付属していません)を使います。仮配線で試してみました。下の写真です。
日本語の歌と、英語の歌を一曲ずつ、MP3形式でマイクロSDにコピーして挿入し試してみると、いとも簡単に順番に再生されました。
デジタルミュージックの類いのように思います。これなら、録音時間を気にする必要は無さそうです。
音楽用なら、音質やサンプリングノイズの点でベターかもしれないと思いました。
歌に代えて、パソコンで自分のCQをMP3ファイルに録音したファイルをSDに書き込み、CQが再生される事を確かめました。
次に再生出力をVRでレベル調整してこの仮組みから送信機に繋いでみたら、それなりに聞ける信号である事が判りました。
しかし狙ったファイルを選択して再生したり、途中で止めるという事は出来ませんでした(シリアルでコントロールすれば出来るのかもしれませんが、この辺が超簡単使いの限界のよう)。
但し、SDに音源ファイルが複数あれば、電源を切らなければ、起動の都度、順番に再生されます。
<製作の方針>
そこで次のように、難しい使い方をやめる事にしました。
CQを途中で止めるのは不自然だから、コントロールで急停止させるのはやめる
(どうしてもの場合はスイッチを切れば止まる)
CQの種類を選ぶのはあきらめる。「本日は晴天なり」もやめる。
CQの複数の音声ファイルが順番に再生される事で手を打つ(ワンパターンは避けられる)。
それならPICマイコンを使って、私にも次のような動作をさせられそうです。それができれば、CQマシーンが出来そうだ!!
1.起動の信号をユニットに送って再生を開始し、同時に送信機のスタンバイ信号をオンにする。
2.ユニットからの再生完了の信号を受け取って、スタンバイ信号をオフにする。
同時に、受信のためのインターバルに入る。
(単発CQの場合は、インターバルに入らず、停止する)
3.インターバルの長さ設定には、PICのADコンバーター機能を使う。
ボリュームの設定値を電圧として読み込み、それをタイマーに反映させる。
4.インターバルが終われば、また1項に戻る。
5.スイッチを押せば、今の再生完了の後、停止する。インターバル中に押しても停止する。
6.別のスイッチを押せば、単発のCQも出せる(これは、オンエアでは出番が少なそう)
回路図、手書きで少々見づらいですが、添付します。
回路図右にTop Viewで示すICは、マイコンのPIC16F819です。アナログ入力が使えるため、選びました。
これを、3つのプッシュスイッチを用いて、操作します。
スピード調節は、VR1の第2端子の電圧をPICのRA0に読み込んだ結果により行います。
モニター用のスピーカー内蔵、片側の端子からは、送信機向けの信号を取り出し、50kΩとVR3でレベルを加減します。
DFPLayerの電源電圧は5Vを超えてはならない(標準が4.2V)のですが、手持ちの5V電源が5.6Vあったため、ダイオードで電圧を下げます。10V電源用にも、レギュレーターとダイオードをつなぎます。
PICマイコンからはスタンバイ用の信号も出力し、FETスイッチを動かします。手動の送信(マニュアルスタンバイ)スイッチも便利なのでつけておきます。プッシュロックスイッチにしました。
(電源オフでも、スタンバイ用のスイッチボックスとして使える。)
<製 作>
基板は、いつもマイコンを使う時に蛇の目基板を使っています。PICにはトライアルできるようにソケットを用い、DFPLも抜き差しを考えてヘッダーピンソケットを2列使って、並べて配列しました。
PICマイコン用の制御ソフトは、細切れの時間に少しずつ作成したためか作業能率が悪く、トライアルも多めになりました。
(実は、腕が落ちている? ^^;)
ケースは、摂津金属のSB-1(ティッシュボックスを3つ切りにしたより少し大きい)にしました。
プッシュスイッチは、押しやすいようにケースの上面、モニターの音量調節はケースの背面、その他のボリューム等は、ケースの前面に。
回路図のTP3(インターバルの間、オンになる)とEとの間にLEDをつなぐと便利だったので、これもパネルに出しました。
一番気を使ったのは: ケース上面に取りつくスピーカーやスイッチに、ぶつからない基板の配置
一番面倒だったのは: スピーカー部の穴あけ・・・、 でした。 ^^;)
出来上がった装置の外観が冒頭の写真、内部が下の写真です。
しまった! 電源と、送信のパイロットランプの色を逆にしてしまった。エポキシで接着しており、もう、遅い。^^;) まぁ、いいか・・・。
<使ってみて>
装置を試運転した時、出力に妙なパルスノイズが混入するのに気がつきました。調べていくと、DFPLが作動中、電源ラインにマイナス向きの数十Hzのパルスノイズが乗っていることが判明。意外でした。(こんな低い周波数で、何をしているんだろう?)
出力を当初のDFPLのライン用出力端子から、回路図に示すSP用出力に替えると何故か改善。電源ラインの平滑コンデンサーを色々試した結果、1000μFでノイズが気にならなくなりました。
(スピーカーの両端子を送信機につなぐと、1000μF無しでもノイズが入りませんでした。その代わり、その場合はこの装置と送信機のコモンを接続できなくなります。また、スピーカーがマイクにもなり、ケースをコンコンとたたくと、音が送信されます。hi.)
これで、当初計画していたように装置が動くようになりました。
早速6mでこの装置を使ってCQを出してみると、15分位でコールしてもらえました。ご利益を実感。
自声のCQだったら、3分でやめる所でした。hi.
当初、音声ファイルは1つだけで、ワンパターンのCQだったのですが、複数ファイルの時には、電源さえ切らなければ、起動の都度、順番に再生される事に気がついたので、3ファイルに増やしました。
暇なときに、CQのファイルをたくさん作っておこうかな。1000ファイル位の容量があるので・・・。^^)
<改良点など>
回路図には載っていませんが、マイク入力もこの装置につなぎ、電源スイッチ(4回路2接点)を利用してCQ出力とマイク入力を切り替えています。写真にはマイクラインも写っています。
(マイクと並列接続すると、CQ中にシャック内の音が混入します。)
こうすれば、CQに応答があった時に電源スイッチを切れば、即交信できます。
また、スピーカー音量調節のVR2は、300Ωではかなり右に回さないと、聞こえる音量になりません。100Ω位の方が良いかもしれません。何分、手持ち部品の利用を励行しているもので・・・。^^;)
今回使ったDFPLayer Miniは、スピーカーを直結できる設計です。
しかし直流をカットするためのケミコンがボード上に見当たりません。OCLなら、プラスマイナスの両電源が必要ではないかと思ったところ、SP用端子の両方に、直流の約2Vがかかっていました。だから直流が相殺か・・・。
コモンアースから見て、それぞれ逆相のAFが出力されているようでした。なるほど。
え? そんな事、常識??
使ったマイクロSDは1GBでしたが、書き込んだCQのMP3ファイルは、1MBほどでした。
記録容量は余裕しゃくしゃく、1000倍長いCQも、入れられる??
マイクロSDは、SDFormatterを用いてフォーマットしました。
<オマケ>
マニュアルのスタンバイスイッチが意外と便利でした。
CQマシーンの電源を切っていても使えるため、最近は、送信機のテスト時のスイッチボックスとして使っていることが多いです。hi.
<蛇 足>
CQマシーンで、しばらくCQを繰り返しているうちに眠気がさしたり、他の作業を始めてしまうと、応答があった時にびっくりして、声がひっくりかえる事があるので、要注意!?
<PICマイコンの提供>
このCQマシーンを作ってみようと思われる方に、制御用のPICマイコン(プログラム済)を頒布します。
下記をクリックし、メールでお問い合わせ下さい。
JA3KABにメールする