カップラーの製作 その2

<スイッチ切替式カップラー>
先の20dB&50dBカップラーがまずまずだったので、少し欲が出て来、複数のカップラーをスイッチで切替える、M結合方式のアッテネーターを計画しました。
下の回路図(手書きですみません)のようなもので、親、子・弟、孫までつながったカップラーです。


出来上りと、その周波数特性は、下図の通りです。150MHz以上は、ちょっとしんどいです。hi. スペアナ用には、ノーマライズして使えるかな?
20MHz付近の特性のあばれは、40dBの出力を50Ωで終端すると改善します。




最初は、子カップラーと孫カップラーに、3tでのタップを設け、30dBと50dBの測定を狙ったのですが、周波数特性が悪すぎて、話になりませんでした。
(厚かましかった?)
これに代えて、30dBと50dB用に10dBカップラー(3tのコア)を2つねじ込みました。これら、10dBカップラーの巻き数が少ないため、20MHz以下での減衰が大きくなります。
f特の問題が多いですが、スイッチ切替で便利なので、目安として使う事にします。

<30dBカップラー>
10dB違いのレンジが、うまく埋められないかと思い、同じFT82-61のコアを使って、2:5tに巻いた10dBカップラーと、1:33tの30dBのカップラーを同居させたものを製作しました。
しかし、10dBカップラーは10MHz以下のレンジで結合が悪化する事と、メインライン自体でのロスが発生するため、取り外しました。
残った30dBカップラーの回路図が下の通りです。

下は、このカップラーの周波数特性です。
100MHz付近より上の周波数では、特性のあばれがありますが、90MHz以下では、まずまずです。
33tも巻いていますから、仕方ないでしょう。

<結 論>
あれこれと、M結合カップラーを用いたアッテネーターを製作し、或る程度のツールが手に出来ました。
大きな電力からサンプルを得るには、M結合カップラーは欠かせない方式でもあるでしょう。

しかし、M結合だけで大きな減衰を得るには、限界もあると感じました。
また、減衰比の大きく違うものをスイッチで切り替えるのにも、やはり高域で問題があるという事を、目で確認する事になりました。
(当たり前の事ではあるのですが・・・。)

この後、M結合カップラーの後ろに繋ぐための、まじめな抵抗方式のπ型シリアルアッテネーター(左下の写真)を作りました。
(大電力に使えるM結合と、すなおな特性の抵抗方式を、足して2で割る?)
抵抗シリアル方式の周波数特性は、高域での若干の低下はありますが、乱れの無い素直な減衰特性でした。
オーソドックスなものは、特性もすなお?

     

なお、M結合カップラーを使うには、ダミーロードか、アンテナを繋いで終端とする必要があります。
そこで、簡易なターミネーターとして今回のカップラーには、写真右上のようなダミーロードを内蔵させました。
シャーシの隅に取り付けて、囲みシールドとします。
セメント抵抗ですから、高い周波数には無理がありますが、50MHzでは実用上問題ありませんでした。
40W以下なら、 スイッチオンでこれに接続して終端できるので、楽です。hi.
(スイッチオンのままで、出力をアンテナに繋ぐと、ややこしい事になりますので、要注意。)

<補 足>
M結合のカップラーは、中に通す同軸ケーブルが、中心からずれたり斜めになると、特性の乱れが大きくなりました。
コアに同軸がきっちりはまる場合以外、ケーブルをコアの中心に確保する手段が不可欠と思います。


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