144MHz X球リニアアンプの(プチ)改造記
<じゃじゃ馬リニア?>
この144MHzリニアアンプは、430MHz、50MHz用に続いて、X球の4X150Aを使って50Wを出すために70年代に製作したものでした。
途中で折り返したように曲げてスペースを稼ぎ、銀メッキをしてもらったストリップラインを用いて、同調はバリコンでなく、二つの円板の距離をネジで調節する、430MHzでの方法を採用しました。長さの決定のために、ストリップラインは試作を一回行っていました。
当時リキを入れて作り、出過ぎる程のパワーが得られて(max120W)、低い電圧の電源に換えたり、50MHz用の少し古い球と交換したり、パワー低減に苦労するほどの出来でした。
ところが、スプリアスが他局に飛び込んだ事から、アップバーターだけでなく(トラフ共振器を使って作り替えた)、このアンプの寄生振動を疑って(測定器が無かったための濡れ衣だった!)改造など対策に追われ、これが2mへのトラウマに。hi.
じゃじゃ馬アンプの印象が頭にこびりついて、このアンプにも手が伸びなくなりました。
写真左 改造前のリニアアンプ 折れ曲がったストリップラインが特徴
写真右 丸洗いしてしまった、4X150A
<いきなりの不作動>
多くの時が流れ、このアンプを整備する事になりました。今度はスペアナで、スプリアスは見つけることが出来ます。
さてやってみると、以前じゃじゃ馬と思ったほどのリニアアンプは、パワーの出過ぎ、ゲインどころか、バイアスボリュームを回してもプレート電流が流れず、動作点のデータも取れないという状況からのスタートとなりました。各部への電圧は、ちゃんとかかっています。そんなアホな~。
このままでは真空管がオシャカ扱いになると思い、接触改善のため思い余って、クレンザーで丸洗いしました。^^;)
これで(オダブツか)、性能はさておき、私と歳を争う球もピカピカとなりました。
銀色は、いいなぁ。 ← オイオイ!
結局球は正常で、問題は真空管のソケットへの差し込み方が不十分という、つまらない原因だったのですが、以前はこの程度でも正常に働いていたのでした。
<GGからGKへ>
気を取り直して整備にかかりましたが、以前のスプリアス問題のため、安定動作を狙ってか、GG方式に改造されて(誰に?)いました。お陰で、パワーダウンしたUPV(6W弱)ではフルドライブが出来ず、球も年季の入った物で、1200Vもかけて出力は60Wと、いま一つ。
いつも使う900V電源では、50Wも無理そうです。どうしようかなぁ。このまま使おうかなぁ・・・。
900Vで、60W位は出るようじゃないと・・・。
UPVに、10W用のパワーモジュールを組み込んで、ドライブを増強しようか・・・。
それとも、球をイキのいい新品に取り替えようか・・・。
いや、今のUPV、今の真空管を活かして、900Vでも60W出るようにしよう。 と、また再改造の迷路に・・・。
GGのままではどうしても改善しないので、元のGK方式に変更することに。入力側のタンク回路を再構成して、またトライアルです。
GK法に再改造した入力部の風箱内部
何回かのガッカリの後、記憶する当初のコイルより少ないLで、タップで入力と結合し、パワー計(120W)が振り切れる出力(@1200V)が得られました。
この真空管は古いもので、50MHzで900Vと低目のプレート電圧でmax出力80Wほど、それをSG電圧などで50Wに押さえて使っていたのですが、より高い周波数でのこのパワーにはビックリ。ストリップライン、すごい! じゃじゃ馬(?)リニアの復活だー! (お帰り、久しぶりやなぁ)
寄生振動などのスプリアスも見当たらず、本物のようです。やれやれ。 オンエアには、900V電源を使い、下記のHi-QフィルターやSG電圧加減で出力を落とします。
古い球ではありますが、俄然真価を発揮する事があるんですねぇ。私も、こうありたい(?)。
UPVで10Wを得るためオークションで狙っていた144MHzトランシーバーのジャンクやパワーモジュールとも、これでサヨナラです。hi.
この後、各部の取り付け状態を改善し、出力側にフィルターを入れれば完成なのですが。
<Hi-Qフィルター>
この電力で使える、うまいLPFを作る自信はなく、目をつけていたのが、TS-700のジャンクから取り出した、銀メッキの太いコイルで巻かれたヘリカル共振器、いわばHi-Qフィルターです。
しかし、10W機のフィルターが、このリニアに耐えられるだろうか??
(以前このリニアで、某社のBPF内部のコンデンサーと基板を焼いてしまったことがあったなぁ。 ^^;)
Hi-Qフィルターは案の定、問題でした。コイルとバリコンの間に入っていた2pFのコンデンサ(見落としてました)が、こんがりと焼け、これに代えて入れたテフロンシートのパッドも、マイカコン等も、焼けてしまいました。ハイパワーにHi-Qは、こわいです(銀メッキのコイルも相当に発熱していた)。
写真左 Hi-Qフィルター内部で、焼けてしまったテフロンシートのパッド
写真右 コイル中程からバリコンに直結した、ミディアム-Qフィルター
コンデンサーをやめてコイルの中程からバリコン(羽根を抜きました)に直結して、ミディアム-Qにしました。焼ける部品も無くなりました。hi.
高調波も、十分に低くなりました。これで、安心して使用出来ます。
写真左 Hi-Qフィルターの周波数特性
写真右 フィルター通過後リニアアンプ出力のスペアナ測定結果
<改造完了!>
リニアが動くようになり、試しに2mSSBで電波を出してみました。南大阪の局と交信でき、30余年ぶりの同バンドでのQSOとなりました。おかげでその日は気分よく寝られました。^^)
改造を終わったリニアアンプ
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