50MHz ポータブルトランシーバーのレストア記
<50MHzポータブル用 自作トランシーバー>
70年代に作ったこのトランシーバー、極くたまにしか使わず、内蔵の充電式電池を2回パアにしてしまいました。
しかし電池の取替えを除き、電源を入れればいつも動作してくれる、頼もしいトランシーバーでした。
余り故障しないのは、いつも箱(パソコンソフトの箱だった)に入れて保管していたからかなぁ。(箱入り娘?)
ケースも自作、ロッドアンテナ内蔵で携帯便利、愛着がこもるこのトランシーバーも、年季を隠せない姿となりました。
これも、新スプリアス規格をにらんでレストアの番になったのですが・・・。
ピコ6のスプリアスは十分小さいのに、自作の6mポータブル機のスプリアスは、1WでやっとOKの-40dB余りにしか下がっていない。何で?
<スプリアス退治>
ピコ6には、大きなフィルターを入れるスペースも無いのになぁ。
ピコ6の回路を見ると、ミキサー後の複同調と、T型アンテナフィルター位しか付いていない。これら、ウチのにもあるんやが・・・。 くやしいなぁ。
VXOの出口にはフィルターを増強、IFもXtalフィルターの後で増幅をしたので、複同調を追加してスプリアスは十分少ないのに・・・。
写真左 ミキサー後の複同調 (右上の二つのトランス)
写真中 アンテナ行きのT型アンテナフィルター (下部の小基板とコイル)
写真右 VXO用の複同調と、高調波トラップ
もう一度VXO、IFのフィルターをはじめ各部をチューンし、ミキサーの入力レベルを細かくトライアルして大分ましになりましたが、近接のスプリアスが強く、-60dBを確保することができませんでした。
(高調波は、4段π型LPFが効いているようで、十分下がっています。)
試しに、スプリアスが殆ど無いIFとVXOの信号を取り出し、DBMに入れてみて愕然としました。-25dB程のスプリアスが山ほど・・・。
これと戦うのか・・・。
<意外な原因が!>
そこで、”あっ、まさか!”
長い事取外していなかったミキサー基板を外して裏を見てみると、ミキサー出の複同調のトランス間の結合コンデンサーが、22pF。 大きすぎる!
昔は、こんな事をやってしまっていたのでした。 ^^;)ゞ
これを2pFに替えると、装置が別人(?)になりました。近接のスプリアスはいっぺんに-70dB以下に減少。
これで、ピコ6のスプリアス抑圧レベルを超える事が出来ました。
各部のチューンも心置きなくピークに設定し、出力はmax3W(@13.5V、2W@12V)を回復しました。高調波も-65dB以下でした。
やれやれ。
写真左 レストア後の出力のスペアナ測定結果
写真右 レストア後のトランシーバー内部上面 (元は左下部にも電池が入っていた)
<レストアを終わって>
これで一人前に使え、リニアに繋ぐ事も出来るものになりました。
しまった、2B94リニアに3W用アッテネーターを付けておくんやった。急いで、スタンバイ信号として、送信時の直流電源から抵抗でアンテナ出力に繋ぎました。^_-)
(その後、当リニアに3Wアッテネーターと切替スイッチを付けました。hi.)
このトランシーバー専用のポータブル2mアップバーター行きラインにもBPFを入れて、スプリアスは-70dB以下となりました。
製作から約40年、電池は密閉型鉛バッテリ → 単二型Ni-Cd → 単三型Ni-MHと変化して随分小型化しました。お陰で、空いたスペースにあれこれのフィルターを入れる事ができました。技術の進歩に感謝。
詰め込みのため、VXO用のフィルターから隣接のアップバーター用フィルターに42MHzが飛び込み、急遽シールド板を立てました。hi.
(考えたら、ピコ6はすごかったんやなぁ~。 えっ、今のFT-817やハンディ機? これら、既に私の頭ではプッツン。)
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