3-500Z HFリニアアンプのスプリアス対策

<新スプリアス規格がリニアアンプへ波及?>
新スプリアス規格施行以前に検査を受けた、HFのトランシーバーと500Wリニアアンプの組合せは、エキサイターを新スプリアス規格適応の物に取り替え、申請を終わっていました。
その後、新スプリアス規格に応じて、こういった昔のリニアアンプの扱いに関する動きが始まっていると耳に挟み、遅まきながらリニアのスプリアスを再確認する必要を感じました。
帯域内スプリアスの測定は難しいのですが、帯域外スプリアスはウチのスペアナでも測定可能です。

スプリアス測定に必要なダミーロードは、ペンキ罐で作った物をいつの間にか無くしてしまった(ため、お尻が中々上がらなかった)のですが、折しも最近JA3TGL辻OMから、FBな自然空冷式のダミーロードを譲り受けていました(勿論、油冷、水冷の抵抗もアリです)。 よし、これでやってみよう!

   

写真左  リニアアンプの外観。下部のケースは、電源
写真右  リニアアンプの内部。左端に、チムニーをかぶった3-500z 2本が見える。

<測定装置>
測定には、次の測定器を使いました。
 ① 通過型電力計 (CM結合式)
 ② 30dB M結合カップラー
 ③ 空冷式ダミーロード
 ④ 35dB ステップアッテネーター
 ⑤ スペアナ

<リニアの構成>
リニアアンプは落成検査後、70年代の内に、次の通り改造により変更していました。
 ① 真空管       572Bパラレル  →  3-500Zパラレル
 ② 出力タンク回路  πマッチ  →  πLマッチ (コイルが1段多い)
真空管は余裕があるため動作に無理が無くなり、πLマッチにより、高調波が少なくなるはずです。
内心、当規格に対しても問題ないだろうと思っていました。

<測定結果>
測定の結果、高調波以外のスプリアスは殆ど無く、最初の測定で、14、21MHzでスプリアスは基準値以内であることが判りました。
しかし、7MHzでは-47dB(下の写真参照)と、基準値に収まらず、3.5MHzは-50dBぎりぎり。いずれも、第3高調波が原因でした。
これら2つのバンドでは、マッチングを最良点に追い込むことが出来ていませんでした。
ローバンドにはもう、何十年もQRVしていないとは言え、これは早期に対策が必要です。

    

  7MHzでの出力スペクトル(スパンは50MHz)

<対策は?>
対策として、次の3つの方案を考えました。
 ① ローパスフィルターを設置する。
 ② マッチングの改善と選択度向上のため、アンテナチューナーを調達して付加する。
 ③ マッチングの改善のため、タンク回路を改造する。
確実に対処するため、これら全部を試してみる事にしました。

<ローパスフィルタ―>
これが最も直接的解決と思われました。
3.5MHzでも、問題の第3高調波は10.5MHzです。カットオフが7.5MHzのローパスフィルターを作れば良さそうです。10dBも落とせば良いのだから、難しくはないと思って試作してみました。
手持ちのトロイダルコアを使って、まずは0.5mm径程の線を用いて、1段π型、ノッチ付きフィルターを仮組みしました。ノッチの位置は、C3を構成する各コンデンサーの誤差の影響を受けるので、要トライアル。
回路と特性は、下の通りです。1段にしてはかなり良い特性のものが出来ました。しめしめ。

  

まずこれを、トランシーバー出力の100Wにつないで、効果の程を見てみました。
これは、効果が余りありませんでした。トランシーバーの内蔵、外付けに関わらず、ローパスを二つ繋いでも、それぞれの減衰量を足し算する事は出来ない、という認識を深くする結果でした。
太い線に巻き替えてのリニアアンプ出力でのテストは、他の方策の結果を一通り見てからにします。
(後日、送信機と負荷側のSWR(1.4位だった)を、もっと低減しないと、減衰効果を上げられないことが判りました。)

<アンテナチューナー>
500Wに使えるというアンテナチューナーを、オークションで落札して調達しました。他の方案が不調の時の保険との考えです。同調できますから、10dB位の改善は期待できそうです。

<タンク回路の改造>
3.5も7MHzも、タンク回路のバリコンが入り切り付近の同調になっていたので、並列にコンデンサーを追加しようと思ったのですが、ちょっと待てよ。タンク回路のQを上げよう。
タンクコイルのタップの位置を、コイルの巻き数を増やす側にトライアルしました。大成功!

 7MHzでの結果(スパンは100MHz)

測定の結果、次のように、全免許バンドで基準値の-50dBをクリアしました。 やれやれ。



<あとがき>
リニア本体で基準値に到達する事が出来て、一安心です。
今後当局から昔のリニアアンプに関して、どのような要求があるか判りませんが(お手柔らかにお願いします)、これで、今やれる準備は出来たと思います。
片付けも終わった日、オークションで落札した、上記アンテナチューナーが届きました。hi.



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