新スプリアス規格対応

Elecraft K2トランシーバーの
スプリアス改善

  

2000年頃、米Elecraft社から、HFのオールバンド機K2のキットが発売されて間もなく、これを購入しました。
遠方赴任の際で、現地での製作と、ポータブル局の開設が目的でした。
軽量で簡単に持ち運べて10W出力、内部にスペースがあり電池の組み込みも出来そうな事、キットながら本格的な設備構成であることに魅力を感じていました。

しかしこれは旧スプリアス規格の装置で、JARDのスプリアス確認保証対象機器にも入っていません。
スプリアスを調べてみると、各バントとも高調波は問題なし、近接のスプリアスは14MHzまでは良いのですが、それ以上のバンドでは問題がありました。
下図の通り、21MHzでは惜しい所でスプリアス領域での-50dBをクリアできず、24、28MHzでもNGでした。



新スプリアス規格に応じて、何とかしなければ・・・。

<対策の方針は・・・>
近接のスプリアスを3dB余り下げる必要があります。
主たる問題は、複同調ひとつというBPFの通過特性の甘さにあるように思われます。

オーソドックスに考えれば、BPFをシリアル型にするなど、強化すればよいのですが、回路の切り込み、取り出しなど大規模になります。バンド切替の信号取り出しも、一筋縄ではいきません。

現実的な方法としては、アンテナチューナーが考えられます。Elecraftから内蔵ATUのキットも発売されていますが、そのスペースに私は電池ホルダーなどを組み込んでおり、ちょっとこれもしんどい話です。

色々検討の結果、BPFに同調回路を1個だけ増設する方法を思いつきました。

<BPFのプチ増強>
手許に21MHzのFCZコイルがあったので、15/17m用BPFの出力側に色々な仮配線でつないでみました。
このうち、FCZコイルのリンク側を出力にパラレルにつなぐ方法で、効き目が現れました。
10/12m用BPFにも同様につなぐと、スプリアスが減少しました。

回路は、下のようです。リンクコイルへの繋ぎ込みに1000pFのコンデンサを付けないと、動作しなくなります。hi.



共振回路が行先無しの盲腸(?)状態。本当は、増設側の共振回路から出力を取り出したいところですが、回路を切り込んでまでの改造トライアルは、はばかられました。

それでもこれで、近接スプリアスにかなりの減衰が得られました。
また、21、28MHzだけでなく、18、24MHzにも効果がありました。
ただし、28MHzでは出力を最大(10W強)に設定するとNGとなり、半分に設定する必要がありました。

改造の様子は、下の写真のようです。トランスをトランスの上に半田付けしました。



<スプリアス測定結果>
21、28MHzでのスプリアス測定結果は、下のようです。





素晴らしいスペクトルとまでは行きませんが、規格をクリアする事が出来ました。
18MHz、24MHzも、同様にクリアしました。

<あとがき>
28MHzでの出力の制約は伴いますが、大規模な改造無く新スプリアス規格に対応する事が出来、一安心です。
これで、懸案のK2も戦列復帰しました。hi.





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