リニアアンプのお話 その3 続編

<予備球はお財布事情で>
自作3-500Zパラレルのリニアアンプの予備球として、4-400Aを2本購入したのは、1982年の事でした。
3-500Zより少し安かったので、お財布を見つめて決めました。
(今では、オークションの相場でも、値段の開きが大きくなってしまいましたが。)

4-400Aは4極管、現用の3-500Zは3極管ですが、今の球がヘタったら、リニアを改造して3極管結合にし、ベタコンGGで、バイアスを、何か調整すれば、4-400Aが使えるだろうと考えての事でした。


写真左  現用の3-500Z
写真右  予備球の4-400A

<予備球登場の時は?>
時は急速に流れ、エキサイターのトランシーバーも1回半ほど代が変わりましたが、余り空に出ないので、リニアは大して故障もせず、3-500Zも無事に生き長らえて、約40年になりました。
そうすると、予備球を使うのは、いつ頃の事か・・・?
3-500Zと私自身が余命を競う中、3-500Zがヘタった時、白頭の私にリニアを改造する能力が残っているだろうか・・・?
と心配し、予備球として改めて3-500Zを買おうとする軟弱な私と、頑張って改造するべしと叱咤する硬派な自分が、バトルを繰り広げていました。

軟 : これからの自分の頭の老化を考えたら、回路変更やトライアルまで、出来るか?
    無理をせずに、3-500を調達しようや。
     4-400は、オークションに出したら?
硬 : いや、初志貫徹しろよ! 頑張れ!
    3極管のリニアで4極管を使うという、チャレンジくらいやるのが、アマチュア精神やないか!
(まるで二重人格!)

一方で、真空管式送信機のレストア、4X150Aのリニアの整備や、予備球のテストで、ここ2か月に電源装置のヒューズを10本ほど飛ばした、現実の自分もいました。トホホ。
FL-2100Bの改造(別に紹介します)では、まさかの手順間違いで、一度ヒューズのガラス管を破裂させました。

<妙案出現>
今すぐ4-400A用に改造したら、折角の長寿の3-500Zが勿体ない。
ちょっと待てよ、両方の球の切替方式にできたら・・・・。そんなに簡単に、実現できるやろか?
配線を、モレックスコネクターで繋ぎかえるか??
スイッチで切り替えられるほど簡単か??
そのスイッチの切り替えを(おなかに当たるなどで)間違えて、3-500Zが赤熱し、オシャカになる危険もある。難儀な・・・。
(今回の改造では、おなかでメインスイッチを入れてしまったことが2回。^^;)

思案投げ首で、改めて4-400Aのデーターを3-500Zと見比べると・・・、見かけの形は違うが、全体として数ミリ背が高いだけ。
フィラメントの定格は同じ。ベースのピンは同じ5本で配置寸法も同じ。
1本、第1グリッドがスクリーングリッドに変わっているだけなので、ベタコンGGなら、球は差し替えが出来ます。
ベタコンGGの場合のデーターも提供されており、ゼロバイアスに変更するだけで、うまく動作しそうです。

差し替えは、スムーズにいけるかも。と、思い始めた時、突然思いついたのが、次の方法です。
・ 頭がこれ以上劣化しないうちに、つまり今すぐ、改造する。
・ スイッチ方式でどちらの球にも切り替えて使えるように改造する。
・ スイッチは、ケース内で操作するように取付ければ、間違って切り替える事も無い。
こんな簡単な事、何で思いつかなかったんやろ。頭の柔軟性の低下に、苦笑。

<思いついたら、すぐ着手>
ヒューズ破裂の懸念は(理由もなく)吹き飛び、すぐにリニアの改造にかかりました。(単純!)
真空管を差し込む、シャーシ上面の空いた所に、スイッチを取り付けました。
(結局、タンクコイルの横という、何となくコワイ場所になりました。写真左下)
バイアス回路全部をショートするという、横紙破りなスイッチです。hi.
(回路とバイパスの切替方式にしたら、どちらにもつながっていない時に、片側が高圧になり危険ではないかという、懸念の結果です。)

この他、改造のついでに、LPFを50Ω系に取替え、スタンバイ回路にトランジスタスイッチやソリッドステートリレーを取り付け(これら、長らくの懸案)、ソケットやリレー接点をクリーニング、およその回路の解明(? 製造元は、誰やー!)もしました。

  
写真左 真空管切替スイッチ
写真右 送信中の4-400A

<切替方式 大成功!>
数日で、4-400A×2、ベタコンGG(切替式)への切替その他の改造が出来上がりました。
試運転の結果、3-500Zよりパワーがちょっと下がりましたが、それは、名前にもある通り、500と400の違いですから、納得が行きます。
バイアス電流も、程よく流れます。
JA7やφの局とも交信し、おかしな音ではないとのレポートを貰いました。

白箱入りの、80年代の、中古の球でしたが、ちゃんと働きました。(写真右上)
グローや、まさかのフラッシュオーバーも、ありませんでした。やれやれ。
これで、4-400Aも、予備球の地位を回復(?)です。hi.
軟弱な私と、硬派な私のバトルも、終了。(アウフヘーベン?)

スイッチで3極管と4極管を切り替えるリニアは、見た事がありませんが、これはメーカーには必要ないでしょう。
お財布と相談の多いアマチュアしか思いつかないのでは? hi.
逆に、アマチュアならではの発想! いや、無銭家ならではの・・・・。

<蛇足>
4-400Aは、3-500Zより数ミリ背が高く、チムニーの肩はクリアーしましたが、高圧部蓋のパンチングメタルの取付高さをその分、上げなければならなくなりました。急いでスペーサーを買いに行きました。hi.

ヒューズは、一本も飛ばずにすみました。hi.



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