オンエアモニターの製作
2クリスタルのVXO搭載! VXO単体でも使える!

<製作目的>
オンエアモニターは、自分の電波がどんな音質で飛んでいるのかを、電波を実際に受信して確かめるための、簡易なレシーバーです。
別のトランシーバーを使えば良いようなものですが、送信出力によっては、トランシーバーを損傷させる恐れもありうるので、安易にこれを使いたくありません。
(昔、リニアアンプを使ったら、サブのTS-520が壊れた事がありました。)
気軽に使えるレシーバーとして、高周波増幅無しのダイレクトコンバージョンの簡単な受信機を作るアイデアが、かなり前からCQ誌などに紹介されていました。

記事では、局発としてカラーテレビ用の3.579MHzの安価な水晶を発振させ、基本波や高調波を用いて、HF波や、53MHzをDC検波に供給します。これが、マルチバンドをローコストで実現するミソでした。
これなら、回路はとても簡単になります。歪んだ音も、これで発見できそうです。

しかしこれは、バンドによってはオフバンドや、常用周波数とかけ離れた周波数になります。また、受信周波数が固定のため、どうしても送信しながら、送信側のVFOを動かす必要があります。そのため、ダミーロードを使用してのモニターが、大前提です。

何とか、これらの制約条件無く、飛ばしている電波をキャッチできないだろうかと、考えました。

<どのようなものを?>
考えてみたら、水晶に直列のトリマーをバリコンにすれば、受信周波数の調整ができるぞ、いや、それよりVXOを作ればいいじゃないか!
3.579MHzの水晶も、引っ張れば3.5MHz帯の中央位まで可変するんじゃないか?
良く考えたら、バリコン(つまり、選局ダイヤル)1個で、2波(HFと50メガ用)切替のVXOも、実現できそうだ!
(そんなに甘くなかったのですが) 
という事に気がつき、おう、手頃なバリコンもある、ケースもジャンクのパネルを替えれば。
昔懐かしいバーニアダイヤルもいいじゃないか! 等々、手持ち部品の総動員計画を思いつきました。

こうして、手持ちの3.579MHzの水晶と、‘60年代の50.25Mc(Hzではなく、時代が判る)のAM用水晶を使ってVXOを作り、
HFは、3.5MHz帯と、高調波を利用、50MHzは上記水晶を基本波で発振させてその高調波を利用し、
ダイレクトコンバージョンで復調して、周波数可変しながらモニターするものを作る事にしました。

周波数カウンターに接続する事も出来、
またさらに、外部VFOの取り込みも出来、
逆に、VXO単体としての機能も使え、出力を外部に供給する事も出来るようにと、厚かましいアイデアを盛り込みました。

下が回路図です。手書きで見づらくてすみません。(Rev.1 改造版です。)



検波回路は、多少ともゲインが欲しいので、FETを用いました。思わしくない場合は、リング検波に変更できるように基板を製作したのですが、変更の必要は、ありませんでした。

<製 作>
明るい見込みの中で製作にとりかかりましたが、進捗はスロー、予定通りに動いてくれない状況もしばしば。
逓倍部が自己発振していてなかなかうまく働かず、正直、落ち込みました。

VXOに再度目を向け、出力を増大させたりしましたが、後記のように増幅、逓倍部の74AC04を74AHCU04に取り替えたら安定しました。(急に元気が!)
VXOの出力増大には、ダイオードスイッチに流す電流が、重要なカギでした。
L1とL2のVXOコイルは、455kHzのIFTをほどき、巻きなおしました。巻き数は、トライアルの結果です。
3.579MHzの方は、可変域が少なかったため、パラにコンデンサーを抱かせました。

低周波増幅のTA7368Pに供給する電源を、他にも供給すると、そこの信号にAM変調がかかり、音が歪みました。
これを防ぐため、検波回路や他の回路には、他の電源ICから供給します。

   

装置は、写真のようです。再利用品が多数あり、あまり新作品に見えません。(フランケンシュタイン?)

<使用して>
VXOの可変範囲は、特にHF用の3.5MHzでは広すぎのようで、QRHが落ち着くのに少し時間がかかります。
(パラにコンデンサーを抱かせるなど、欲張りすぎ?)

また、フィルターもPSNも無いので、DSBを受信する時のように、慎重に同調する必要があります。
その代わり、受信機のクリスタルフィルター等のために、モニターする音質が影響されることはありません。hi.

まず、送信しようとしているトランシーバーに、オンエアモニターのVXOのキャリアが受信出来ます(VXOの可変範囲内の話ですが)ので、バーニアダイアルを使って、ゼロインさせます。その後に送信すれば、音声がモニター出来ます。
自分の声を自分の耳で確かめるため、やはりヘッドフォンを使うのが一番です。

アンテナ端子に1m程の電線を繋ぎ、5W出力でも、十分にモニターが出来ました。
逆に入力の強すぎも想定して、保護のためにアンテナ入力部にダイオードを二つ、互いに逆向きに入れました。
これで、ハイパワーでも装置を潰す心配はなさそうです。hi.

今後活用したいと思います。

VXO単体として利用する場合のため、50MHz用の水晶(原発周波数は16MHz台)に替えて、他の水晶も使えるよう、簡単なソケット(真空管ソケットのピンを使った)を取付けました。
手持ちの水晶に付け替えてテストした結果、3MHzから20MHzまで、どの水晶でも発振しました。
(可変範囲は、水晶ごとに異なります。)

<あとがき>
当初は、VXOの出力を74AC04使ってオペアンプの手法で増幅したのですが、発振気味の動作になってしまい、それが木枯らしの風音のようなノイズとして受信音に混入しました。これをバッファー無しのタイプの74AHCU04に替えると、動作が安定して正常になりました。
通常のC-MOSを安直にアナログに転用は、ちょっと無茶でしたね。hi.


                     前のページへ

                     Home Page