パドルの動作の確実性向上について


<木製パドルの本格派>
CWのQSOで、パドルや電鍵の自作品を使っていると聞くと、”同好の士だ!”とばかり、「どんな構造ですか?」とか「写真を送ってもらえませんか?」などとお聞きしてしまいます。hi.
私と同じ木製ベースで複式電鍵を作ってお使いという方がおられ、QSO中やその後のE−mailであれこれ質問してしまいました。
JA7BWV庄子OMです。
面白くない事もお聞きしてしまったと思いますが、百聞は何やらとばかり、力作の電鍵を種類別に2回も送って下さいました。恐縮の至り。hi.


庄子OMの電鍵  接点幅調整方式が左はバネ式、右がネジ式です。

私のミニサイズのものと全く違い、大ぶりでしっかりとした作りの本格派。
しなりのあるシングルブレードで、ソフトタッチ。ストロークが大きいですが、打ち心地がFBです。

接点を構成するネジは5ミリの大きなものでした。サポートの貫通部はしっかりとナットで固定されています。
鋸刃に似た、焼き入れリボンには銅板が巻き付けられ、接触の確かさが伺えます。
横幅もあり(底辺は10cm×10cm)、黒いゴムシートが重心を引き下げてか、打鍵時に横ずれしにくい構造でした。
また、接点間隔の調整は工具が無くても出来るよう、ネジが手で回せるようになっています。
使いやすさ、安定感と、高級感まで感じるすぐれものでした。

庄子OMのページへのリンクは こちら

さすが、ご経験に裏打ちされ、大変よく練られたものです。

<動作の確実に向けて>
私は、プリント基板を使ったダブルレバーのパドル5号機(リンクはこちら)をほぼ毎日、1年半ほど使い込んだのですが、時に接触不良が起こりました。
庄子OMの電鍵の構造からのインスパイアもあり、動作の確実性のために次のような改善策を講じました。

1.接点を構成するビスの固定強化
  このビスが、ブレードの銅箔と確実に接触するよう、ブレードの外側だけでなく内側にもナットを用い、両側から締め付けに。
2.ブレード内側のナットを電気的にブレードに接続
  当ナットを卵ラグに半田で固定し、短い導線で、ブレードの銅箔に半田で接続した。
  (このナットは、打鍵時に押し付ける方向に力がかかるので、信頼できると考えました。)
3.中央ステムの固定強化
  ステムがふらつかず、ベースにしっかりと締め付けられるよう、ワッシャーを2枚重ねとし、増し締め。
4.パドル出力端子の卵ラグを、電気的にブレードに接続。
  導線を渦巻きバネ状に曲げ、卵ラグとブレードを半田で接続した。
  (メンテナンスの際に、ブレードの取付け角を変える事があるため、バネ状にした。)
5.接点部の酸化による接触不良の防止のために、シリコングリスを薄く塗布
  接点の材質を変えられなかったため、リニアアンプのリレーで効果のあった、この方法を採った。

また、接点の調整に工具を使わないで済むよう、ブレード外側のナットを蝶ネジとし、ビスも手で回せるローレットビスに替えました。

これら改造後のパドルは、下の写真のようです。



ちょっぴりメカっぽくなりました。hi.
ほこりや金属部への錆の防止のため、プラスチックフィルムで作ったカバーをかけています。
また、ブレード内側のナットのために、サポート部の両側にスペーサ(プリント基板1枚ずつ)を入れ、ブレードの間隔を少し広げました。

庄子OMに頂いた電鍵にも、プラスチックフィルム(元はファイルフォルダーの半透明のカバー)で作ったカバーを作ってかぶせました。
下の写真です。カバーにより、金属部のくすみも少なくなります。但し、このカバーはきゃしゃで、移動用には向きません。^^;)
(同様のカバーをベンチャーパドルにかぶせて約40年になりますが、金属光沢を維持しています。)
メカ部はカバーの中で少し見えにくいですが、パドル用に改造しています。
木製ベースは表面を少し仕上げ、クリアラッカーを5回吹き付け(裏面は3回)ました。汚れのしみ付きが防げます。



<対策の効果は>
上記1から5の対策全てに効果があったかどうかは判りません。
しかし、1、3、5には、手応えがありました。5の対策の後、接触不良は起こっていません。
これで、さらに使い込んでみたいと思います。(耐久テスト?)
動作の確実性に対するカバーの効果ははっきりしませんが、恐らく接点の酸化防止に多少とも役立つと思います。
(クリアラッカーの効果は、外観だけでしょう。hi.)

<あとがき>
現用のキーヤー(DJキーヤー)にパドル入力コネクタが2つあるので、プリント基板使用の改造後のパドルと、庄子OMのパドルの2台を接続しています。
前者を使い込む一方、もしかの接触不良時のバックアップ、また気分を変えたい時など、OMのパドルを活用したいと思います。

<ここでフッと>
パドルやメカ式のキーは、接触不良防止のため、接点を磨く等のメンテが不可欠とされます。
しかし、ちょっと待てよ。昔良く使われたシーメンスキーという切り替えスイッチは、接点のアームが互いにしなって摺動するため、接触不良が相当に防がれるという事を思い出しました。これをパドルに応用できないか・・・。
続きは、下の「摺動接点式パドルの試作」に。


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