塗装の失敗談
インスタントレタリングが泳いだ ?!

昔、体力にまかせてあれこれと自作した頃、お金も時間も足りずいつも急ぎ働き(時代劇の見すぎ!)で、パネルを綺麗な色に塗装したり、まして文字を入れるなどという余裕も(手段も)ありませんでした。
ネームシールプリンタなどというしゃれたものもありませんでした。
私の場合、刷毛で薄くニスを塗っただけ、文字なしのパネルが恒例で、パネル無しも平気、たまにシャーシー後ろのコネクターにANTやSTBYなどとマジックで書く位が関の山でした。

今はさすがに、アルミ板をナイロンたわしで軽く磨いてヘアラインを入れ、洗ってからクリアラッカー、或はラッカー塗装しています。
その後インスタントレタリングを貼付け、クリアラッカーを再塗布しています。

<何気ない計画が・・>
急ぎ働きの時代から40~50年ほどの時間が流れ、当時の作品にもレストアの順番が回ってきました。
回路図を書かない、パネルに文字を入れない装置も、今ではついて行けません。hi.

小さな低周波発振器も少し機能追加して、のっぺらぼうのパネルはレタリング、クリアラッカーで再仕上げしようと計画。

小さなパネルをまず、たわしで磨いて夕方にクリアラッカーをスプレー、晩にレタリングを貼り付けた翌日、朝飯前にベランダでラッカーを吹き付けました。冷え込み、どんよりと曇った日曜日でした。
食事中に再吹き付けは面倒と思い、厚目に吹き付けました。
食事を終わってゆっくり新聞を読み、優に1時間経って、やおらパネルを回収に戻ると、パネルは写真のような状態に・・・。



あちゃー。レタリングが元の位置からずれている!
上の印字はまだましですが、下の行は、判読も困難に。
ラッカーは、まだ乾いていませんでした。 また、ラッカーは少し流れたように、下の部分が厚めに。
インスタントレタリングが泳いだ?!

まだ乾かないラッカーが下塗りを溶かし、その上のインスタントレタリングを固定するものが無くなった結果のようです。

<プロのアドバイス>
50年ほど前のCQ誌に、スプレー塗装する場合の、プロによる次のような注意事項が掲載されていました。

① 晴れた日の日中に塗装する。
  
(湿度の高い場合、気温の低い場合は、溶媒の気化熱がパネル表面に水分の凝縮を起すためと理解しています)
② 1回に厚く塗らず、薄くスプレーし、乾いてから再度薄くスプレーする。
  
(手数は増えますが、塗膜が乾きやすく、また厚みを一様にしやすいためと理解しています)
③ 30cmほど離して、斜め角度からスプレーする。


私は、上記①と②に著しく背いていたと思いました。恐らく③にも。
お昼を待たず、雲が薄れるのも待たず・・・。

<手間を惜しんだ結果>
レタリングが余りにもズレて、我慢が出来ない部分を難儀して剥がし、再度下塗り。
レタリングを貼りなおして再塗装にかかった時には雨が降り出し、作業になりませんでした。 トホホ。
2回の再塗装を終わり、ドライヤーで乾かした頃には、お昼になっていました。

天候回復を待たず、10分後に再塗装するひと手間を惜しんだ結果は・・・、
・ 折角のレタリングの除去
・ 再下塗り 2回
・ レタリングの再貼付け
・ 再塗装

と、4つの手間を発生させ、仕上がりも「ビミョー」なものとなりました。
「プロの教訓は、軽く考えてはいけない」という、当たり前の教訓を思い知る事となりました。hi.

お恥ずかしい失敗談ですが、諸氏のご参考になればと思い、掲載します。

<蛇足>
以前は、100均でも購入できたインスタントレタリングでしたが、入手ルートは随分少なくなりました。
入手先について、多少の情報がありますので、困っておられましたらトップページからの e-mail でお問い合わせください。



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