再び430MHz アップバーターの改造
パワーアンプの増強と、自作フィルターの効果

<再び430MHzアップバーター>

430MHzアップバーターを、ラックから降ろしました。
以前、ファイナル石を飛ばして交換後、4W程になってしまっていた出力の増大と、ツートーン信号によるIMD特性の確認と改善が目的です。

ドライバー段はTrの変更とアイドリング電流の加減で、ここでのIMDが10dB弱ほど改善し、出力が少し増大しました。
しめしめと思ったら、ややあってパワーアンプの1段目が暴走・・・。これが、”やり替え”の発端となりました。

CAN型の2SC1001では、負担が大きかったようです。(そう言えばこの石、昔もよく暴走させたなぁ)

これをスタッド型の2SC1121に取り換えたら、遂にパワーが2.5Wまで低下。ドライバーを1段増設することになりました。(これが、パンドラの箱に・・・。)

<増設ドライバー>

1段増幅のドライバーを、別ユニットで作る事になりました。
2SC1121ではゲインが不足、IMD特性もベターなCAN型の2SC1164にしました。しかし、出力は1Wに近く、相当に発熱します。
そこで、はめ込みの放熱器に、下の写真のように厚手のアルミ板をネジで貼り付け、奇妙なものになりました。
これで発熱問題は、とりあえず解決。



<パワーアンプの比較>

上記に、TS-770のパワーアンプユニットを繋いだ場合と、現在のユニットを繋いだ場合を比較すると、

TS-770パワーユニットの場合
① パワーは上記増設後14W得られ、これはOK (3段増幅している)
② 10MHz程離れて弱い寄生振動(-70dB程)
③ 高調波が、内蔵のLPFで-60dBぎりぎり。ローパスの増設は効果なく、結局Hi-Qフィルタでなければこれが取れない。
④ IMD特性は良い。

自作アンプの場合、
① 出力は9W程。2段増幅ではゲインが不足か。
② 放熱器の増強が必要。← スタッド型の取付けは難しく、他の形式の石を使って組み換えが必要。
③ IMD特性は、-35dBがやっと。
④ 寄生振動は無い。
⑤ 以前製作した自作ローパスとは相性が悪く、パワーロスが20%以上。(やはりHi-Qフィルタか)

全般にTS-770の方が出来が良いようですが、寄生振動がどうしても気に入らず、自作アンプを組み替える事にしました。
(自作機への愛着か? 執着??)

<出力10Wの回復>
ファイナルアンプの作りかえ、まずは薄手のリン青銅板の磨き込みから開始しました。
銀メッキ板(地金は真鍮)もあったのですが、「Qが低いから、銀メッキまではいいや」と、こちらにしました。
(この辺が、分かれ道だったか) 

手で簡単に曲がる薄さにかかわらず、半田付けを始めるとすぐに手で持てなくなるくらいのえらい伝熱でした。
60Wの半田ごてではちょっとしんどく、100Wコテのお出ましとなりました。酸化物カスの発生が多い上に、大きさを持て余し、作業の跡は嵐の爪痕のよう。

昔は板金加工の際、手の汗や油による酸化や汚れを防ぐために、手袋をしていたのですが、これも完全に忘れていました。 

これでファイナルTrは2回の付け替え(1回は、穴寸法の異なるTr)、回路変更も1回、(テスターのヒューズ交換は3回、関係ないか)、出力部のヘアピンは太い線材、短冊、ストリップラインなど、4回取替えをやってしまい(結局、元の物に・・・)、まさか新品とは思えない状態となりました。hi.

♪ 矢弾の跡も、そこかしこ~ ♪

増設ドライバーと、ファイナルアンプ(ヘアピンのトライアル前)の写真を添付します。



ファイナルアンプは、グレーの放熱器に取りつけています。(未塗装の放熱器の場合、私はグレーに塗装します。)

今度のパワーユニットは、リアパネルに取り付ける事にしました。これで、トリマーの調整は横から・・・。

これで、ようやく10Wを得る事が出来ました。

ケース内部とリアパネルをやり替えて、何とかケースに戻すことが出来ました。
リアパネルは配置が大幅に変わり、穴のあけ替えが必要で、穴がいくつも不要になりました。
パネルの再製作を考えていましたが、例の多角形板のたたき込みでやってみました。30mmφの穴もありましたが、うまく行きました。

たたき込みによるパネルの穴ふさぎへ


<スプリアスは・・・>
自作LPFは、TS-770のものを参考に(^^;)、2機目を製作し、タクシー機出身の3段Hi-Qフィルタに置き換えました。これでパワーロスが減りました。しめしめ。

改めてスペアナで、「高調波は・・・」と覗いてみると、高調波は自作LPFで落ちていましたが、ドライバユニットの出で、-60dB程の妙な近接のスプリアスが・・・。そんな~。
わずか10Wのパワーを追いかけている内に、オバケの侵入を許してしまったようです。自作の道はなかなか険しいですね。hi.

局発出力とパワー段入りに、ヘリカル共振器、IFに50MHzのBPFを付加しました。写真添付します。



さらに、ドライバーの5段トラフ共振器をトラジェネで再チューン(パワー追求の時にさわって大分ずれていた)して、何とかUPV単体、リニア使用時ともスプリアスを押さえることが出来ました。やれやれ。

ヘリカルフィルターの図、手書きで恐縮ですが、添付します。

ヘリカルフィルター


改造後の写真と、スプリアス測定結果を添付します。(50MHzのBPFは、良い場所が無く、パネルの裏側に両面テープで貼付け。)

  

 以前は、Hi-Qフィルタで大概のオバケは排除出来ていたのですが、その代わりには3本の矢、じゃなかった、フィルターが必要でした。

割と簡単なつもりでUPVを棚から降ろしましたが、途中ペースダウンもあり、改造には4か月かかりました。
大きなため息が出ました。hi.

しかし最近の小さなトランシーバーは、どうやってオバケ退治をしているんだろう・・・?

<リニア供給用パワーダウン>
真空管式リニアアンプへの供給電力は3W程で良いので、144MHzアップバーター同様に、アッテネーターによるパワーダウン用スイッチを設けました。
これで、リニアへの切り替えが楽になりました。






前のページへ

Home Page