FL-2100B 改造のお話
HFリニアを、28、50MHz用に!
追記 : 後日談-2 パラ止めから火花が!!
またまた改造 πマッチをπLマッチに増強!!

<改造のアイデア>
FL-2100Bは、1975年に500Wの落成検査に合格した殊勲のリグでした。
しかしその後に製作した、3-500Zパラに主役を譲ってからは、長い間、ほこりをかぶっていました(写真左下)。
処分を考えた事もありました。
しかし、法規制では50MHzで500Wまで免許され、200Wが保証認定されるようになった事を知り、このFL-2100Bを28MHzと50MHz用に改造して、両バンドを200WにQROする事を思いつきました。
(それまでは28MHz、50MHzとも50Wの免許)

プレート電圧を設計の半分の、1100Vにし、タンク回路を改造すれば、何とか実現できるだろうとの皮算用です。
送信管の572Bも、1100Vなら、多少キーダウンの時間が長くても、平気だろうとの期待もあります。
一方、572Bの規格を見ると、「VHFには推奨できない」とあります。データもありません。
そこで、反骨精神に火が付きました。(イテマエ精神?)

  
写真左  使わなくなっていた、FL-2100B
写真右  磨きなおした、タンクコイル

<200Wで、50MHzを付加>
最初に、当時の落成検査のために取り外していた28MHzの入力タンク回路を復活し、572Bパラレルのまま、まず電圧を1100Vに落として、全バンドで200Wに出力を落としました。これは、すんなりと行きました。これで変更申請している人も、かなりいる模様です。参考になりました。

タンクコイルの28MHz用コイルのみを残して他は取り外し、コイルをクレンザーで磨くと、輝きが戻りました。
(この改造で、一番気分が良かったのが、この時。hi.  写真右上)
50MHzに合うよう、Qを計算してタップを付けました。
入力タンク回路は、14MHz用を外して、そこへ、50MHz用を作って取り付けました。
プレート回路全体の配線も模様替えして、最短距離に変えました。
次に、プレートのバリコンの羽根(ローター)を、「50MHzで同調がとれるまで」少しずつ抜き、その都度動作テストを行いました。
まず半分ほど抜き、タンクコイルにディップメーターを近づけたら、50MHzには合いました。
しめしめ。

<動作させると・・・>
ところが、実際に動作させ、πマッチを調整してもピークが取れず、さらに羽根を抜いて動作させ、πマッチのトライアルを繰り返しました。
羽根をおおかた抜き取るまで、572Bのパラレルを諦められませんでした。
羽根をさらに抜いても、もう余り結果が変わらないと悟った時、ようやくパラレルを諦めました。

<572Bシングルに>
羽根ではなく、今度は572B1本を抜きました。これで、シングルです。
1本で200W出すため、電圧は2200Vに戻しました。
時すでに遅く、恐らく、シングルの場合には残しておけた羽根まで抜いてしまったと思います。hi.
抜き過ぎのため、28MHzに同調できなくなったので、バンドスイッチの3.5MHz用と7MHz用の回路を使って、28MHzの時にバリコンにパラレルにコンデンサーを接続しています。
(シングル化でインピーダンスが変わり、Qの計算も、ずれてしまいました。hi.)

(ひそかに狙っていた、24MHzや18MHzも、吹っ飛びました。)

  
写真左  改造後の高圧部内部
写真右  改造後のシャーシ裏

写真は、改造から2年経ってから余分のファンやソケットを外し、カバープレートを取り付けたので、取替えました。hi.
(タンクコイルは2年半で、もう黒みがかってきたなぁ)

入力マッチング回路は、50MHz分も取り付けたのですが、真空管のカソード負荷がシングル化で変わってしまい、整合させきれなくなったので(腕が無い。hi.)、両バンドとも直結に変えました。
直結のお蔭(?)で、かなり小さな入力で200Wが得られました。

 飽和出力は 28MHz:入力50W→ 出力240W
      50MHz:入力30W→ 出力235W
            入力24W→ 出力200W

TSSに保証認定を申請し、程なく両バンドでの200Wの免許がおりました。

<スタンバイ回路>
FL-2100Bは、マイナスの電圧を利用して、バイアス回路に使うとともに、スタンバイ用のリレーを動かしています。
従って、エキサイタ―のリニア用スタンバイ回路が、マイナス電圧を扱う事が出来れば良いのですが、昨今のトランシーバーでは、無理です。

そこで、フォトトランジスターを用いて、スタンバイ回路とマイナス電圧を縁切りする事にしました。
スタンバイユニットの写真と回路図を下に添付します。
フォトカップラーは、手持ちを使いましたが、新規の場合は耐電圧が高いものを選ぶと良いでしょう。

   

<完成!>
以上で完成、28MHz、50MHzで200Wのリニアアンプとなりました。

このリニアは、HF~430MHz用のトランシーバーに付加する形で、TSSに保証願いを出し、免許されました。
保証願いには、改造の内容と結果、出力の実測結果を記載した資料を添付するよう求められ、添付していました。

ここまで来ると、シングル化の挫折の事も忘れてしまい、「予備球ができたかな」などと言いながら、この改造リニアを使い始めています。
改造用に新たに買った部品等は殆ど無く、とても経済的プロジェクトでした。
遊休設備が形を変えて現役復帰し、めでたし、めでたし。


FL-2100B改造 28、50MHz 200Wリニアアンプ

<後日談>
ちょっと待てよ、TS600(10W機)が20Wに改造できれば、それで、このリニアをドライブできるやないか?
後日、これをやってみました。 大成功!
さっそく保証認定でTS600改造機を申請し、その後、既に新しい100W出力の親機等に繋がっていたこのリニアに接続変更する、変更届を提出しました。

どんだけ、レトロなラインアップが好きなんや?!

<後日談-2> パラ止めから火花が!!
このリニア、もう少し使おうと、しばらくぶりにテストしていたら、送信中のプレート電流がピクピク左に大きく振れ、内部で小さく「パシ、パシ」という音と、小さな光が!
その後、正常時0.045Aであるべき無信号時のプレート電流は、0.1A強に倍増。オイオイ、勘忍してくれー。

そう言えば、送信中たまにプレート電流が小さく左に振れる事があり、「どこかに接触不良が起こったかなぁ」位に思っていたのですが、今度は決定的でした。
平成最後の夜は、リニアの修理となりました。

この球もオシャカなのかなぁ。そんなに使い込んではいなかったつもりだが・・・。
まずはリニアの裏蓋をあけ、バイアス調整のスライド抵抗の設定を変えてみましたが、全く改善しませんでした。
しかし、アイドリング電流が増えるとは。まさか、発振か? 電流がピクピクは、高圧部のスパークか?

今度は上蓋と高圧部のパンチングメタルを開け、インターロックスイッチを仮押さえして、恐る恐る送信。
すると、プレート出のパラ止めのソリッド抵抗から火花が! 止めてよく見ると、抵抗が縦にパックリ割れ、リードの付け根にも焼け跡が・・・。

     

写真左  焼損したパラ止め
写真右  再び焼けたパラ止めの抵抗

HFリニアのパラ止めのままでは、VHFには重すぎたようです。負荷に耐えかね送信のたびに発熱するうち、ついに焼損、抵抗が働かなくなってパラ発振に至った模様。伏兵の時限爆弾でした。^^;)
パラ止めのコイルをゆるい螺旋のものに取替え、3Wの酸金抵抗を2個並列にして焼けた抵抗に替えましたが、再び焼けてしまいました。酸化金属の抵抗も、焼けると黒くなる? (← アホ!)
コイルが、まだ大きかったようです。コイルはさらに小さいものとし、抵抗を3パラにしました。下の写真のようです。



<教 訓>
FL-2100Bなど、HFのリニアアンプを改造して50MHzで使う場合、パラ止めに想定外の負荷がかかる恐れがあります。
パラ止めは、コイルのインダクタンスを低くし、抵抗の電力容量を大きいものに取り替えるのが無難と思います。
またソリッド抵抗は、抵抗体が樹脂に覆われており、放熱の面で不利です。放熱の面では、酸金抵抗の方が有利と思われます。

<後日談-3> πマッチタンク回路を、πLマッチに!!
このリニアのために大きなLPFを購入し、取り付けたのですが、高調波削減のためには効果が不十分だったようです。
FL-2100Bの出力タンク回路はπマッチだったのですが、高調波削減のため、これをπLマッチにするには、2つのバンド用のコイルを切り換えるためのバンドスイッチの回路が足りないと思っていました。
しかし、50MHzのπL用増設コイルをそのまま28MHzで使用しても、効果が少なくなるだけで、高調波削減に有益である事に変わりはないと思い直しました。そこで、バンドスイッチに関係なく、ロードバリコンの後ろにコイルを増設する事にします。



572Bをパラレルからシングルに変えた時、一度はサジを投げてしまったπマッチのQの計算ですが、心を入れ替えてこれをπLマッチの形に替えて計算し直しました。hi.
現状のタンクコイルを使った設計では、Qにとんでもなく高い値を入力しなければつじつまが合わず、お世辞にも良い設定とは言えないのですが、ともかくこの回路にコイルを付加した計算をし、LPFの計算サイトで効果を試算しました。
付加するコイルのインダクタンスが大きくなる程、ロードバリコンの容量は少なくなり(その分、このバリコンにかかる電圧が上昇する)、この回路で推定される高調波抑圧比は大きくなります。

付加するコイルに、原状のコイルを上回るインダクタンスのものを作り、テストしてみたら、50MHzで確かに高調波は以前より10dB強ほど減少していました。しかし、パワーが3割がた低下します。これは、不満だ~。
原状とほぼ同じインダクタンスに減らしたら、パワーは減らず、高調波が以前より約10dB少なくなりました。これで納得。

  ←二連バリコンの下の、白い被覆のコイルが増設分

最初、6mmφの銅パイプを使って45mmの巻き径の大きなコイルを作り、シャーシの上側に設置してみたら、高調波が以前より増え、大失敗でした。hi.
この部分のQは低いので、太い線材を使う必要は無いと思われ、それよりもやはり、真空管や、他のコイルとは結合しにくい場所や向きにする必要があるようです。

- 蛇 足 -
計算上、50MHzでタップダウンした元のタンクコイルも、タップの位置を少し下げられます。そこで3tを4tにしてみたのですが、チューンを取り切れなくなりました。結局、ささやかに3.25tにタップ変更。hi.

プレート同調のバリコンが、少し入った角度に変わった(同調容量が増えた)ので、「ひょっとしてパラレルが復活できるか?」と思い、前に抜き取った572Bをフィラメントを点けずに再び取り付けて試してみましたが、容量が増えすぎ、これもチューンが取り切れませんでした。
すごすごと、また572Bを取り外しました。hi.

<ついでに> 入力マッチング回路のトライアル
572Bをシングルにした時から、入力のマッチング回路の損失が増え、同回路を取り外してカソード直結に替えていました。
π回路で色々試したのですが、ドライブパワーの吸収装置のような状態で、うまく行っていませんでした。

球の入力インピーダンスは不明、うまい取付方法が見当らないためバリコンを使えず、固定コンデンサーです。
そこで、あてずっぽうで100Ω前後と見当をつけ、インピーダンスをステップアップするLマッチを計算して、トロイダルコアとマイカコン等で試してみました。15W出力の親機を使った結果は、
① カソード直結     →  SWR>3   50%ドライブしかできない。
② 220nH+40pF →  SWR<3   15W弱でフルドライブできた。
③ 220nH+50pF →  SWR<3   15Wでフルドライブ不可。(40pFと50pFでの違いが大きい)
④ 1:4バランで、強制的にステップアップ → フルドライブできるが、動作が不安定化 (広帯域過ぎるためか)
⑤ 120nH+150pF×2(π回路)   → ドライブ電力吸収状態(hi)

上記は、現用のTS-600(出力増強)を用いたテストでしたが、別のトランシーバーでは①の場合と②や③の場合でSWRの結果が逆転しました。
結局、トランシーバーに応じて①~③を切り換えられるようにして入力回路に組み込みました。

  
 左 Lマッチ回路の挿入
 右 Lマッチングの様子

TS-600改は、このリニアのドライブには力不足だったのですが、これで改善します。
バンドスイッチで入力回路を切り換える。何か変ですが、このリニアに繋がる二つのトランシーバーをそれぞれに活かす事が出来、気分が少し改善しました。hi.



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