DJキーヤーがバージョンアップ
バグキーやハンドキーにも!
接点ノイズやカスレに強い DJキーヤー4A31型
一般のキーヤーは、その動作の性質上、出力にノイズを伴う事はまずありませんが、キーの接点にはノイズが伴う事があり、バグキーの場合は、カスレが課題です。パドルも同様です。
DJキーヤーも、アイアンビック(スクイズキー)モードでは問題ありませんが、エレバグモードでは、パドルのノイズが多いと影響を受けて、長点出力が途切れる事がたまにありました。
これら、まとめて何とかしたい・・・。
<元祖エレバグキーの動作>
思えば、‘80年代に製作、発表したエレバグキーでは、下図のように長点パドルの信号をある程度の時間(短点長さの1/4)毎に検出し、パドル信号が無くなるまで出力を継続していました。
これはパドルのノイズに強く、自作のパドルでも誤動作した事がありませんでした。
元祖エレバグキーの長点生成時の動作
これに対して、現在はマイコンで高速な動作ができるので、逆にノイズで入力がごく短い時間途切れた時、エレバグモードではスペース生成に移ってしまう訳です。
<エレバグモードの先祖返り>
そこで、エレバグモードのプログラムを現在の高速動作から変え、上図の如く長点パドル信号をタクワンのように寸切りした時間スパンの中で、入力を機関銃のように繰り返しチェックし、その中で1回でも入力があれば、その寸切り時間は出力を続けることにしました。改良型です。経緯を考えれば先祖返りです。hi.
こうして先祖と同様、上図の矢印の所まで符号が少し伸びる事になりますが、気がつかない程度です。
種々トライアルの結果、寸切りの時間スパンは短点の長さの1/16としました。先祖より少しマメです。hi.
これで、格段にノイズの影響を受けにくくなります。
<バグキーや手動キーへの応用 DeChatterモード>
前記の考え方を、バグキーのカスレや、複式キーその他のハンドキーの信号に応用しようと考えました。
手許のキーヤーで、これらのキーのチャタリング除去も出来れば、便利です。
まずバグキー(短点)と、木製ベース(自作)のストレートキーをロジックアナライザーに繋ぎ、波形を見ました。下図の通りでした。(キーアップでHレベル、キーダウンでLレベル)
バグキーの短点の出だしは、かなりのノイズを含んでいます。メンテナンスにより少なくなりますが、ゼロには出来ませんでした。
自作のストレートキーも、ノイズが見つからない時もありますが、上図のように見つかる時もあります。
広い意味でのチャタリングと言えます。
これらバグキーやハンドキーの信号を、DJキーヤーの長点パドル入力につないで、可変長の長点として扱い、上記チャタリングを除去する事にします。
新たに設けた、DeChatterモードです。
<DeChatterモードの動作>
DeChatterモードの動作を、下図に示します。
考え方は、以下のようです。
・ 入力を前記改良型のエレバグモードのように、キーヤーの設定速度での短点の1/16の時間スパンで寸切りします。
その間に入力を高速で繰り返しチェックして、入力を少しでも検出すれば信号を継続します。
・ それに加え、信号を検知してから短点の長さの5/8の時間は、信号を必ず出し続ける事にしました。
これで、バグキー短点の出だしのカスレがマスクされてしまいます。hi.
・ また、符号の後のスペースも、短点一つではなく、最小の長さを短点の5/8として、ハンドキーの自在性を残すことにしました。
キーヤーのスピード設定は、実際の打鍵の速度に概ね合わせます。余りにも遅くすると、スペースが長くなってしまいます。hi.
回路図は下のようです。
えっ、4A20と同じ?! はい、DJキーヤー4A20型と殆ど同じです。違いは、図の赤色で示す、バグキー、ハンドキー等へつなぐコネクタと配線だけです。
当然、 基板もDJキーヤー4A20型と同じです。
マイコンの中身(ソフトウェア)は、4A20型と異なります。
<製作について>
製作に関しては、4A20型のページを参考にして下さい。入力コネクタは、ステレオミニジャックが1個多く必要です。
4A20型をお使いであれば、赤色部を増設せず、パドル入力コネクタの長点側だけにハンドキー入力を繋ぎ、U1のマイコン(PIC12LF1822-I/P)だけ交換する早変わりも可です。hi.
私はタカチのSW-100Sに組み込んでいます。ケースの背面に小さな長方形の穴を明け、基板に取り付けたL型のピンヘッダーにモレックスコネクタでパドルを直接つないでいるのですが、この方法は、はやらなくなりました。hi.
パドル用に別にステレオミニジャックを取り付ける場合、ハンドキー等用のジャックの取り付け場所には工夫が要ります。
私は、複数のステレオミニジャックが必要の場合、下の写真のような分岐コードを使っています。
<使い方>
使い方も、基本的に4A20型と同じです。
モードの切替えは、エレバグモードで電源を切り、いずれかのプッシュスイッチを押しながら電源を入れると、スピーカーが「DC」とビープし、DeChatterモードで立ち上がります。もう一度やると、アイアンビックモードAになります。
つまり、モードA → モードB → エレバグモード → DeChatterモード → モードA と変わります。
サイクルが長くなったので、長点パドルを押しながら電源onでエレバグモード、短点パドルを押しながら電源onでDechatterモードになる裏コマンドも入れました。hi.
DeChatterモードで、パドルを用いてキーヤーとして使うことも出来ます。
この時の出力信号はエレバグモードに似ていますが、バグキーに近いマニュアルな味わいが出ます。
なお、DeChatterモードに設定して、メッセージメモリーを起動した場合は、エレバグモードでの記録と同じ動作となり、アイアンビックモードに変換した記録になります。
<使ってみて>
エレバグモードでは、ノイズによる誤動作が無くなりました。
DeChatterモードでの、バグキー短点の出力波形を下に示します。
スカッとしたものです。 接点ノイズやカスレを気にかけなくなりました。hi.
冒頭の写真は、DJキーヤーにパドルと自作のストレートキーを、下はパドルとバグキーをパラに繋いだ様子です。珍しい光景ではないでしょうか?
DeChatterモードでパドルを操作してみると、最小スペースが確保されるせいか、私のヘタなバグキーがちょっとだけうまくなった(ホンマかいな)ような気がしました。hi.
バグキーやハンドキーのチャタリング防止に特化した、「DeChatter」(よりシンプルで名刺より小型。スピードは、中速/高速の切替え式。短点の5/8の継続も、中速/高速の2段階に対応)も、発表予定です。
DJ4A31型のマイコンや、基板をご希望の方は、JA3KABのホームページからメールでご連絡ください。
キーヤーの基板キット(内容はマイコンを除き、DJキーヤー4A20型と同じです)をご希望の方も、ご連絡下さい。
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