簡単パドルの製作


これまでに、バイブロプレックスとベンチャーのパドルを手にし、ベンチャーの操作の軽さと、タッチの手応えの確かさが大変に気に入っていました。

しかし、重い上にメカが剥き出しのため、持ち運びには大変に不便です。何か軽くて壊れる心配も無いパドルがほしいと思っていたのですが、昔のキーヤーに内蔵させたパドルが頭に浮かびました。

当時、金鋸の刃を2枚エポキシで貼り合わせて作りました。左の写真はエレキー4号機(元3号機)のものですが、随分使いました。しかし、はじいてしまうと反対側の接点を1回打ってしまうのが玉に傷でした。


<1号機>

ダブルブレードのパドルにすれば、この問題をクリアできる事に気がつき、それではと、金鋸方式で持ち運びできるパドルを作る事にしました。

パドルの1号機は、エレキーの2号機から取り出したパドルのブレード(金鋸の刃)を利用して(また、作ったり壊したりをやってしまった)作成しました。

ブレードは、焼きなまし、切断、穿孔して、再焼入れした上で、ミゼットリレーの銀接点を直接はんだ付けして作りました。

ベースやサポート等は、アクリルです。サポートとスタンドには、8mm厚のアクリル板を利用し、スタンドにはこれに3mmの内ねじを立てました。このブレードを、Dot、Dashの各電極につなぎます。

コモン電極には、六角柱形で内ねじをたてたスペーサーをブレードの間に立てて利用します。

ブレード2枚は、サポートをはさみつけるように取りつけ、1本のビスで貫くように固定します。しかしそのままでは、電気的にショートするので、トランジスタの取り付け用の絶縁用ブッシングを両側に取りつけて、ショートを防ぎます。ビスにプラスチックねじを用いると、ブッシングを付ける必要もありません。下の2号機では、プラスチックねじを用いました。

接点間隔は、スタンドに取りつけたビスでブレードを押して調節します。ビスは、これに直角に取りつけたビスでさらに押さえて、固定します。

ベースのアクリルの底に、小さなゴム足を4個貼り付けて、裏配線やビス頭のスペースをかせぎます。ベンチャーパドルの真似をしました、hi,hi.ツマミは適当に好きな形にアクリルを切って作ります。長すぎるのは、NGでした。

1号機の場合、スクイーズした時にツマミの取りつけビス同士がぶつかるのを避けるため、取りつけ穴を、左右のブレードで逆位置になるようにしました。

使い心地は、かなりソフトで、ちょっとタッチの手応えが少なめです。軽さは抜群、バッグにぽんと放り込んでも大丈夫です。


<木製パドル(2,3,4号機)> ← お奨めバージョン
1号機はこういうことで、かなり便利だったのですが、材料や製作方法がかなり特殊で、ひとにお奨めできるものではありません。しかし、シンプルなパドルへのニーズはありました。

そこで、プリント基板をブレードに用いるという、驚くべきアイデアがCQ誌に掲載されていたことを思いだし、9V1UU佐藤さんに頼んで、記事を見つけ出してもらいました。2000年の9月号です。

和文CWマニアの人による記事で、ブレード2枚で1個の接点を構成し、マニアらしい往復式キーを作るものでした。木のベースを用いるとの事。

「これだ」と思い、1号機の方式とミックスしてパドルを製作しました。2号機、左の写真のものです。

今度は、ブレードに紙エポキシ基板を用いました。ブレードの幅を14mmとしていますが、やわらか目です。硬めがいい場合は、これを幅広にするとよいでしょう。

接点ですが、ブレードに2.8mmの穴をあけ、そこへ3mmのビスをねじ込むと、自分でねじをたてて、入っていきます。これをスプリングワッシャーとナットで外側から押さえて固定します。という訳で、ブレードは銅箔面を外側にする必要があります。

銀接点はありません、hi,hi.(このプリント板にねじを立てる方法は、基板をブレードにする事自体とともに、私には大変驚きでした。)

六角のスペーサーをステムに用いる方法は、1号機と同じです。接点の間隔は、上記ブレードにねじ込んだビスで調節します。
従って1号機にあったスタンドは、2号機では省略しました。付ければ、なおFBです。

木の材料は、カットして穴をあけた後、サンドペーパーで滑らかに仕上げ、ニスまたはクリアラッカーを4〜5回重ね塗りします。これで手の垢や油が染み込み難くなります。

ブレードを固定するサポートも木製で、ベースの裏から木ねじ2本で、スペーサーのステムはビスで固定します。電極は、卵ラグをブレードやステムの固定個所に取りつけます。ステムからの配線は、ブレードの下をくぐらせる方法、卵ラグをベースの裏側につける方法、またはサポートの上部に、横向きに貫通穴をあけてそこを通します(写真左、3号機。サポート上部に水平の貫通穴がある)。
なお、サポートを貫通するビスに金属製を用いる場合には、卵ラグとブレードに絶縁ブッシュを両側ともにはめて絶縁をします。これら、特に卵ラグは、絶縁ブッシュがはまるように、穴のサイズをリーマで広げるなど、調整します。

ここで、コツが三つ
このブレード固定用サポートの取付角度により、接点間隔の調整が難しくなったり、調整も出来ない場合があります。
この時は、上記木ネジを一旦緩め、望ましい角度に修正してから、ブレードとサポートを手で支えたまま、少しずつ木ネジを締めるのです。すると、木材同士の摩擦により、その位置で固定されます。


二つ目ですが、
ベースの穴あけは、上面から行います。穴はどうしても垂直になりにくく、裏側から穴あけすると、貫通点で位置がズレるためです。

三つ目、
ビスナットを用いて締め付ける所には、必ずスプリングワッシャを挿入し、しっかりと締めます。これが緩いと、打鍵しているうちに緩んで銅箔面とビスの間が接触不良となります。

キーヤーとの接続は、ステムがアースです。

以上のように、木製ハードルの材料や加工法には特殊なものが無く、余りややこしいカットアンドトライもありません。どなたにもお奨めできるものだと思います。

以上から20年経ち(^^;)、ガラスエポキシのブレードもやってみました。左の写真、4号機です。hi.
1.6mm厚の基板で、ブレードは7mm幅としました。接点間隔がやや狭い目ですがこれで具合良く、CQ誌記事にもあった通り、8mm幅では少し硬めでした。
4号機も、サポート上部に貫通穴を設け、そこに電線を通してステム下部のラグに接続しています。

4号機のつまみは、捨てる家電の電池ケースの蓋を加工して作りました。
廃物の再利用です。hi.
今回は、つまみの取り付けネジはプラスチックでなく、真鍮製にしました。バネの先端が重くなると振動しやすいかと思いましたが、この程度は大丈夫でした。
また、3号機と4号機は、つまみの外周に面取りを行い、指に角が当たらないようにしました。

木製パドルを組み立てて使ってみると、これが意外、タッチの手応えがしっかりしていて、なかなか使いやすいものでした。1号機よりも、使いやすく感じました。
おもしろい事は、木を使っているせいか、まるで将棋盤のように、音が響くのです。
接点音が、カツカツと響き、昔の縦ぶれキーでの状況に似ています。hi,hi.

最初は、ゴム足をつけずにおいたのですが、どうしてもベースが滑ってふらつくため、やはり取りつけました。これでOK。但し、手を添えて押さえる必要はあります。


2、3号機が出来たときに、SARTSのミーティングで木製パドルを紹介したら、2号機にすぐに貰い手がつきました。hi,hi.

写真右は、製作ボランティアで作ったキーヤーに、パドル3号機を繋いでテストしているところ。

木製パドルの図面を、添付します。
読者の皆さん、製作されましたら、感想をお知らせ下さい。
改良案がありましたら、それもお知らせ下さい! 
ホームページからのフィードバックを待ってまーす!!

<3dプリンター製パドル>
八幡アマチュア無線クラブでの、キーヤーと仮づくりパドルの製作教室をお手伝いしたのですが、
参加されていた、JQ3RHG 田中さんが、3号機の寸法で3dプリンターを用いたパドルを作成し、
プレゼントしてくれました。TNX 田中さん!

  

右の写真と同様に、ベース裏にマグネットを貼り付け、このパドルをスチールデスクの端で2、3か月実戦テストしました。
コンパクトで電子工作の邪魔にならないので、当分そのまま置くことにします。hi.

− パドルのベースの厚みその他 −
パドルのベースは、厚い方がしっかりするだろうと思っていたのですが、逆でした。
(将棋盤じゃない?!)
重い台に固定する場合は良いのですが、本体だけで打鍵する場合は、左手で押さえます。この時、接点の位置が高くなると、左手が押し負け気味になります。
これを防ぐには、ゴム足の取付け間隔を極力広くするのが良く、またベースを14mm以下の厚みにして、接点位置を低くするのが有効でした。
ゴム足を2〜3mmの薄いものにしても同様の効果がありました。
また、ゴム足はベースの幅いっぱいに間隔をとって取り付けるのが、効果的でした。

ゴム足に頼らず、上の写真のようにマグネットを取り付け、スチールデスクや鉄のプレート、缶の蓋等に貼り付けても安定化できます。

また、本格的に使用する場合は、ブレードに取付ける接点用のビスに、ブレードを挟むようにナットを取付けて締めるとベターです。
この場合、接点間隔が狭くなる場合があるので、中央のステムを2.6mm用に取り替えます。


パドル3号機の図面

パドル4号機の図面

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